モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》
![]() |
ウィーンフィルの音色を心ゆくまで堪能 |
この作品ほど、ウィーンフィル向きの音楽もそうはないと思いませんか?実際、CDでもウィーンフィルによるこの曲の演奏はいくつも出ていますが、残念なことに、このオーケストラの魅力がむしろ指揮者の個性によってうち消されてしまっているような演奏が多いように思われます。その点、このDVDで聴ける演奏は、隅から隅までまさにウィーンフィルならではの魅力的な音色!ああ、素晴らしきかなウィーンフィル、素晴らしきかなベーム!!もちろん豪華な歌手陣や凝りに凝った演出も、まさに完璧な『フィガロの結婚』のディスクといえます。
![]() |
いまいち・・・・ |
ヘルマンプライのフィガロとフィッシャーディスカウの伯爵は聴きごたえがあった。ただ、舞台録画ではなくまるでテレビドラマみたいな構成にがっかりした。
![]() |
最高の豪華陣だが、失敗作 |
以前は廉価版だったが、再発売で大幅値上げになった。本編は、ベームにウィーンフィル、最高の歌手陣、天才演出家ポネルの手になるが、残念ながら失敗作である。その理由は、舞台ではなく、セットを組んで撮影する完全な映画版にしたことにある。もっとも重要な部分で、画面の歌手が沈黙しているのに(別途録音した)歌が流れ、さまざまな映像が映し出される。例えば、第二幕冒頭の伯爵夫人のアリア(カヴァティーナ)では、キリストの像が、第三幕の伯爵夫人のアリアでは、結婚直後の幸せだった「二人の光景」が映される。第四幕、フィガロのアリアでは、女を信じて苦しむフィガロとそれを笑って突き放す「二人のフィガロ」が同時に映る。つまり、舞台の上の歌手ではなく、回想を含む「心象風景」を映像化しているのだ。
オペラでは生身の歌手が舞台で歌い、我々の想像力が、心象風景をさまざまに描き出す。そこにオペラの生命があるのに、その一番肝心な部分を、本編では、映像が勝手に代行している。映画は時空を越えた光景を自由に描けるが、それはオペラとは異質の原理を持ち込むことでもある。

位 



